ユニコーンアンテナとは?台風対策としてのメリットと設置方法を解説
これまで、テレビアンテナは魚の骨のような形をした「八木式アンテナ」と、ボックス型の「デザインアンテナ」の2つが主流でしたが、現在はその2つに加えて「ユニコーンアンテナ」が注目を浴びています。本記事ではユニコーンアンテナの特徴や設置方法をご紹介します。また、アンテナの天敵とも言える台風の影響についても解説するので、設置を考えている人はぜひ参考にしてみてください。
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ユニコーンアンテナとは?
ユニコーンアンテナは2017年に販売が開始された地上デジタル放送用のアンテナです。ユニコーンの角のようにすらりとした形をしていることからその名が付けられました。また「ポール型アンテナ」と呼ばれることもあります。
見た目と性能をバランスよく兼ね備えており、これまで主流であった受信感度は高いものの、建物の外観を損ねがちな八木式アンテナと、スッキリした見た目でデザイン性は良いけれど受信感度が弱めのデザインアンテナの良い所どりと言えます。
ユニコーンアンテナのメリット
ユニコーンアンテナのメリットには以下の5つが挙げられます。
- 風の影響を受けにくく台風に強い
- 太陽光パネルの影響を受けにくい
- 住宅密集地でも電波を受信できる
- デザイン性が高く外観を損なわない
- 鳥害を避けやすい
風の影響を受けにくく台風に強い
これまでのアンテナは風の影響を受けやすく、台風で倒壊したり角度がズレて電波を受信できなくなったりする恐れがありました。ユニコーンアンテナの細い形は強風も受け流すことができます。そのため、台風が来ても倒壊やズレなどのトラブルを軽減できます。
太陽光パネルに影響しにくい
近年、自宅発電用の太陽光パネルを屋根に設置する家が増えています。屋根の上にアンテナがあると太陽光を遮ってしまう心配がありますが、ユニコーンアンテナは細く長さもあまりないため、太陽光をほとんど遮ることがなく、効率的な発電が可能となります。
住宅密集地でも電波を受信できる
建物の外観を損ねにくいことで、近年デザインアンテナが人気を博しています。しかし、受信感度が低く住宅が密集している場所や、電波が弱い地域ではテレビの映りが安定しなかったり、電波を受信できないからと設置を断られてしまったりすることがあります。ユニコーンアンテナは受信強度が20〜26素子相当と中程度の受信感度があるため、住宅密集地でも安定してテレビ視聴を楽しむことができるのです。
デザイン性が高く外観を損なわない
ユニコーンアンテナはスッキリした形をしており、無骨に見える金属部分は内部に隠れています。また、色は「ウォームホワイト」「ブラックブロンズ」の2色が展開されており、どちらも高級感のある色味なので、家の外観を損ねることがないのもメリットの一つです。
鳥害を避けやすい
魚の骨のような形をした八木式アンテナは、鳥がとまりやすい形状のため、屋根やアンテナがフンで汚れたり、巣を作られてしまったりする鳥害が発生することがあります。しかし、縦長に細い形をしたユニコーンアンテナは鳥がとまれる部分がないため、鳥害を受けにくいのです。
ユニコーンアンテナのデメリット
ユニコーンアンテナはスタイリッシュな外観で受信感度も高いので人気のアンテナですが、いくつかのデメリットもあるため、設置前に知っておきましょう。
八木式アンテナより受信感度が低い
ユニコーンアンテナはデザインアンテナよりは高い受信感度がありますが、八木式アンテナほどではありません。そのため、弱電界地域では設置できない、あるいは設置できる場所が限られるケースもあります。ユニコーンアンテナの設置を考えている場合は事前に設置の可否を業者に相談して確かめましょう。
工事費用がやや高額
ユニコーンアンテナは地上デジタル放送用のアンテナであり、単体では衛生放送を視聴できません。設置する際はBS/CSアンテナもセットで設置するケースがほとんどです。そのため、工事費用は両方合わせた相場が55,000~85,000円程度となり、八木式アンテナ(相場:35,000円)やデザインアンテナ(相場:40,000円)より高額になりがちです。
室内・屋根裏には設置できない
デザインアンテナの中には、室内や屋根裏に設置できるものもあります。しかし、ユニコーンアンテナは屋根上や屋根下の外壁部分など屋外にのみ設置が可能であり、室内への設置はできません。そのため、アンテナを雨風のリスクから完全に守ることはできないので注意しましょう。
ユニコーンアンテナの設置方法
ユニコーンアンテナの設置方法は主に3つです。それぞれの特徴を知り、最適な設置方法を見つけましょう。
突き出し金具設置(サイドベース設置)
3つの設置方法の中でも、多く用いられる方法です。破風板や外壁の強度のある場所に突き出し金具を取り付けて、アンテナを設置します。なるべく目立たない場所に設置したい場合におすすめです。
屋根上設置
受信感度を重視していたり、破風板の位置での受信レベルが低かったりする場合は、電波を拾いやすい屋根上への設置がおすすめです。屋根上へは屋根馬とアンテナマストを使用して、転倒防止にワイヤーで固定して設置します。
スッキリポール設置
スッキリポールとは、電線や光ケーブルなどの電気配線を地中に埋設した配管を通して住宅につなげるためのものです。正式名称は「住宅用引込柱」と言いますが、パナソニック製品である「スッキリポール」が大半を占めているため、この名前で呼ばれることが多いです。
このスッキリポールにアンテナを設置することで、高さが出せるため受信感度を高められます。また、屋根や外壁に金具取り付け用の穴を開ける必要がないこともメリットです。
ユニコーンアンテナを設置する際の注意点
設置の際は以下の3つの点に注意しましょう。
- 自身で設置するのは費用・時間がかかる
- 高所作業は死傷事故の恐れがある
- ブースターが必要になることがある
自身で設置するのは費用・時間がかかる
取り付ける際、費用をなるべく抑えようとDIYに挑戦しようと思う人もいるでしょう。しかし、アンテナ取り付けには本体の他に金具や工具、はしごや安全のためのヘルメットなどの道具も必要となります。すると、全体で業者に依頼するのと変わらない費用がかかり、費用対策としてはイマイチという結果になることも多いのです。
高所作業は死傷事故の恐れがある
アンテナは外壁や屋根上など高所に取り付ける必要があります。高所での作業を慣れない人がすると、落下する恐れがあるため絶対に行わないでください。厚生労働省が発表した平成28年から令和2年までの労働災害による死傷事故は毎年15,000人ほどで、そのうち墜落や転落事故は約5,000人にも上ります。それほど高所作業は危険なのです。
ベランダに踏み台を置けば破風板の端に届くなど、高所作業が必要ない場合も、素人が設置すると電波状況が悪くテレビが映らない、映像が安定しないという失敗につながることもあります。業者に依頼して適切な設置場所に安全に設置してもらうようにしましょう。
ブースターが必要になることがある
ユニコーンアンテナは受信感度が比較的高いとは言え、周辺に高い建物など障害物があったり、弱電波域であったりすると安定した視聴が難しくなることがあります。その場合は、電波を増幅されるブースターの設置が推奨されますが、追加で設置費用がかかるので注意しましょう。
ユニコーンアンテナは高い受信感度で台風にも強いメリットがある
ユニコーンアンテナは、スッキリした見た目で外観が良く、様々な家や外壁になじみやすい特徴があります。また受信感度が比較的高く台風や鳥害の影響も受けにくいため、これらの問題でお悩みの方は設置を検討してはいかがでしょうか。